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2026.10.18

紅葉の名所と一緒に楽しめる2026年の美術展まとめ(首都圏)

11月中旬から12月上旬にかけて、東京は紅葉の季節。東京23区内の紅葉の名所とともに楽しめる美術館を11ヶ所、2026年秋の最新プログラムとともにセレクトした。※10月19日24時まで、すべての方に全文お読みいただけます。

明治神宮外苑の銀杏並木 ©︎PHOTO AC
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東京国立博物館(上野)と上野恩賜公園

 東京屈指の桜の名所として知られる上野恩賜公園は、秋の美しい紅葉を楽しめるスポットでもある。園内では11月中旬から12月中旬にかけて、イチョウやハゼノキ、モミジ、ユリノキといった様々な木々が色づいていく。敷地内に国立西洋美術館、東京都美術館、上野の森美術館、東京藝術大学大学美術館など多彩な美術館が集まり、紅葉散策とともに芸術鑑賞を満喫できるのも大きな魅力だ。

上野恩賜公園の銀杏と西郷隆盛像 ©︎PHOTO AC
歌川広重筆《東海道五拾三次之内 箱根 湖水図》(江戸時代・天保4~6年[1833~35]頃)
横大判錦絵 東京国立博物館 展示期間:1期(9月29日~10月25日)

 なかでも東京国立博物館の本館A室では、特別展 内山晋コレクション受贈記念「歌川広重 江戸のベストアングル」(〜12月20日)が開催中。浮世絵の研究と普及に尽力した内山晋(1893〜1980)の旧蔵品1025点の収蔵を記念した展覧会だ。会場では、広重の画業を語るうえで欠かせない三大風景画シリーズ「東海道五拾三次之内」「木曾海道六拾九次之内」「名所江戸百景」が、3期に分かれて全点公開されている。

東京国立近代美術館(竹橋)と北の丸公園

 皇居の堀沿いに広がる北の丸公園も、都内有数の紅葉スポットだ。秋が深まると落葉樹が鮮やかに色づき、隣接する皇居外苑エリアでは行幸通りのイチョウ並木が見頃を迎える。北の丸地区でもモミジやイチョウが赤や黄色に染まり、過ごしやすい気候のもとで皇居ランニングをしながら紅葉を楽しむ人々の姿も見られる。

北の丸公園 ©︎PHOTO AC

 同公園のほど近くに位置するのが東京国立近代美術館だ。同館では「竹久夢二 時代を創る表現者」(10月23日〜2027年1月11日)がまもなく開幕する。竹久夢二(1884〜1934)は、画家、詩人、ジャーナリスト、デザイナー、イラストレーターなど多面的な顔を持ち、明治末期から昭和初期にかけて活躍した。「夢二式」と呼ばれる独特の美人画やレトロモダンなデザインにより、大正ロマンを象徴する存在として広く知られている。

竹久夢二《黒船屋》(1919)竹久夢二伊香保記念館

 本展は、代表作《黒船屋》(1919)をはじめ、日本画、油彩画、スケッチ、多様なグラフィックデザインやスクラップブックなど、全国の夢二コレクションから名品を一堂に集め、その多岐にわたる仕事の全貌に迫るもの。「美術」という枠を超えて時代を捉え、流行を生み出し、人々に愛され続けた表現者・夢二の創作世界を堪能できる機会となるだろう。

国立新美術館(乃木坂)と明治神宮外苑

 都内を代表するイチョウ並木といえば、明治神宮外苑の名が挙げられる。青山口から円周道路までの約300メートルにわたり、146本のイチョウが9メートル間隔で整然と並ぶ。見頃を迎えると落ち葉が道路一面を覆い、黄金色の絨毯のような景色をつくり出す、絶好のフォトスポットだ。

明治神宮外苑の銀杏並木 ©︎PHOTO AC

 その青山口から六本木方面へ徒歩20分ほどの場所に位置するのが国立新美術館。同館では現在「ルーヴル美術館展 ルネサンス」(〜12月13日)が開催されている。ルーヴル美術館の膨大なコレクションから選りすぐられた56点の作品を通じ、ルネサンス美術の本質的な魅力に光を当てる企画展だ。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》(1490〜97頃)板(クルミ)に油彩 63.5×44.5cm パリ、ルーヴル美術館

 会場では、レオナルド・ダ・ヴィンチの思考から導き出した「旅」「技法の革新と洗練」「古代へのまなざし」「肖像芸術の隆盛」という4つのテーマをもとに、絵画、彫刻、版画、素描、工芸を多角的に紹介。日本初公開となるレオナルド・ダ・ヴィンチの《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》をはじめ、ボッティチェリ、ティツィアーノ、デューラー、クラーナハ、エル・グレコらの名品が一堂に会する。イチョウ並木の散策とあわせて、ルネサンス美術に触れてみてはいかがだろうか。

太田記念美術館(原宿)と代々木公園

 JR山手線原宿駅、東京メトロ千代田線代々木公園駅、千代田線・副都心線明治神宮前(原宿)駅からそれぞれ徒歩3分と、抜群のアクセスを誇る代々木公園。秋を迎えると、イチョウやイロハモミジ、ドウダンツツジをはじめ、キンモクセイやコウテイダリアなど多彩な植物が見頃を迎える。周辺にはカフェも多く、ドリンクをテイクアウトして秋のピクニックを楽しむのにも最適だ。

代々木公園 ©︎PHOTO AC

 公園から原宿駅方面へ歩いてすぐの場所に位置するのが太田記念美術館だ。同館では現在「葛飾応為『吉原格子先之図』 夜景の系譜」(〜12月6日)が開催されている。本展では、葛飾北斎の娘であり自らも優れた絵師として活躍した葛飾応為が、光と影の鮮やかな対比で吉原の夜を浮かび上がらせた《吉原格子先之図》(1818〜60頃)が3年ぶりに公開されている。

葛飾応為《吉原格子先之図》通期展示

 さらに、鈴木春信や小林清親らによる夜景の名品に加え、明治末以降に海外向けへ制作された夜景作品も紹介。江戸から明治、大正へと受け継がれた夜景表現の軌跡をたどることができる展覧会となっている。

東京都庭園美術館(白金台)と美術館庭園

 東京・白金台にある東京都庭園美術館は、アール・デコスタイルの館建築(旧朝香宮邸)と、鮮やかに色づく庭園の紅葉を同時に堪能できる名所だ。敷地内には、開放感あふれる「芝庭」、起伏ある景観と茶室が和の情緒を醸し出す「日本庭園」、ベンチが配された寛ぎの「西洋庭園」という3つのエリアが広がる。秋にはキンモクセイの香りが漂い、散策にぴったりだ。

マイヤ・イソラ《ウニッコ》(1964)© Marimekko Oyj Suomi-Finland Maija Isola 1964 
画像提供:東京都庭園美術館

 現在同館では「マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking ―Beauty, Dream, Love」(〜12月20日)が開催中。フィンランドを代表するデザインハウス「マリメッコ」の美学と創造の背景に迫る展覧会だ。1951年の創業以来生み出されてきた印象的なプリントデザインと、そのものづくりの精神に着目している。館内にはカフェやレストランも併設されているため、鑑賞後に秋の庭園を眺めながらゆったりと寛ぐのもおすすめだ。

※西洋庭園は2027年3月31日(予定)まで閉鎖

21_21 DESIGN SIGHT(六本木)と檜町公園

 六本木の東京ミッドタウン東側に隣接する港区立檜町公園。モミジやキンモクセイが彩りを添える園内は、都会の喧騒を忘れさせてくれる憩いの場であり、地域の人々に親しまれる隠れた紅葉スポットでもある。

檜町公園 ©︎PHOTO AC

 同敷地内の21_21 DESIGN SIGHTでは、企画展「方丈記に学ぶ –生きるを編み直す小さな建築–」(〜2027年1月11日)が開催中。鴨長明の『方丈記』に記された小さな庵「方丈の庵」を起点に、現代の暮らしと空間のあり方を見つめ直す展覧会だ。

企画展「方丈記に学ぶ –生きるを編み直す小さな建築–」の展示風景

 会場では、『方丈記』に描かれた自然観や暮らしに関するリサーチ展示とともに、多士済々なクリエイターによる現代の「庵」が立ち並ぶ。ギャラリー1の入口には田部井美奈、サンクンコートには正田智樹+竹中工務店+veigによる庵を設置。ギャラリー2には江頭慎、大室佑介+川長組、小渕祐介+中村純、2m26、山口晃らが手がけた作品や、地下ロビーには須田悦弘による作品が展示されている。

世田谷美術館と砧公園

 広大な芝生広場が広がる東京・世田谷の砧公園。「家族ぐるみで楽しめる公園」をコンセプトに整備された園内では、秋になるとイチョウやキンモクセイ、ヒガンバナなどが咲き、休日に子供連れでピクニックを満喫するのにぴったりのロケーションだ。

砧公園 ©︎PHOTO AC
「第1章 モチーフが織り成す物語」の展示風景

 その砧公園の端に位置するが世田谷美術館だ。同館では「スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン」(〜11月15日)が開催されている。本展は、スウェーデンにおけるテキスタイルデザインの魅力を「モチーフ」「デザイナー」「暮らしとの関わり」という3つの視点から紐解くもの。伝統的な手工芸や織物文化から発展し、20世紀半ばの技術革新を経て世界的に注目を集めたプリント・テキスタイルの世界を存分に楽しめる。

SOMPO美術館(新宿)と新宿中央公園

 新宿区立の公園として最大級の広さを誇る新宿中央公園。東京都庁をはじめとする高層ビル群の足元に自然豊かな空間が広がり、日常の憩いの場として親しまれているスポットだ。同園では例年11月下旬から12月上旬にかけて紅葉の見頃を迎え、鮮やかに色づくイロハモミジやイチョウが周囲の超高層ビルと重なり合い、都心ならではの秋の風景を楽しめる。

新宿中央公園富士見台前のイロハモミジ(2024年12月)

 同じ新宿エリアにあるSOMPO美術館では、「開館50周年記念 アルベール・マルケ展」(〜12月13日)が開催中。同館の開館50周年を記念し、日本国内では35年ぶりとなるマルケの回顧展だ。国内外のパブリックコレクションや個人蔵から厳選された約90点の作品により、初期から晩年に至る画風の変遷をたどる。

アルベール・マルケ《ラ・フレットへの道》(1945)油彩/カンヴァス 65×81 cm ボルドー美術館 ⓒMairie de Bordeaux, Musée des Beaux-Arts, photo F. Deval

 会場では、マティスらとともに展開したフォーヴィスム期の作品から、落ち着いた中間色の対比で描かれた風景画までを幅広く展示。「マルケのグリ(灰色)」と評される独特のグレーの表現や、パリの自宅から見下ろしたセーヌ川、旅先の水辺を描いた情景など、洗練された静謐な絵画世界を堪能できる。

パナソニック汐留美術館(汐留)と浜離宮恩賜庭園

 東京湾岸部の高層ビル群に囲まれた浜離宮恩賜庭園は、江戸時代の面影を残す大名庭園だ。現在も東京湾から海水を引き入れ、潮の満ち引きによって変化する情景を楽しめる「潮入の池」を有し、都心で洗練された秋の風情を味わえる紅葉の名所として知られている。

浜離宮恩賜庭園 ©︎PHOTO AC

 庭園から徒歩圏内にあるパナソニック汐留美術館は、ジョルジュ・ルオーのコレクションをはじめ落ち着いた空間で鑑賞を楽しめる美術館だ。同館では現在「吉田璋也のデザイン ― 新作民藝運動がめざした未来」(〜12月20日)が開催されている。

展示風景より、左は《緑釉黒釉染分皿》(1931)

 柳宗悦の思想を継承しながら独自の生活文化運動を展開した吉田璋也の足跡に光を当てる本展。伝統的な手仕事をベースに、現代の生活に調和する美しい日用品を考案した「吉田デザイン」の家具や器など、約300点の作品や資料が一堂に介している。

東京都現代美術館(清澄白河)と清澄庭園

 泉水、築山、枯山水を配した「回遊式林泉庭園」として知られる清澄庭園は、新緑や桜の季節だけでなく、晩秋の紅葉も見事なスポットだ。例年11月下旬頃からモミジやイチョウが見頃を迎え、情緒あふれる日本庭園を楽しむことができる。

清澄庭園 ©︎PHOTO AC
「多田美波—光、凛と ゆれる」の展示風景

 庭園から徒歩15分ほどの場所にある東京都現代美術館では、この時期2つの企画展が開催されている。企画展示室地下2階の「多田美波―光、凛と ゆれる」(〜12月6日)は、戦後日本の抽象彫刻・造形界を牽引した多田美波(1924〜2014)の大規模個展。初期の絵画や代表的な彫刻・照明作品約70点に加え、建築造形のパーツやスケッチなどの貴重な資料を展示。松屋サロンのシャンデリア《チェーンデリア》の原寸大復元や、光造形《瑞雲》の再構成展示も見どころだ。

「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」第3章の展示風景

 いっぽう、企画展示室1、3階の「共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし」(〜12月13日)は、1930年代の台湾で結成された詩人グループ「風車詩社」を描いた映画を起点に、日本と台湾の文化交流と近代の芸術表現を振り返る企画展。台湾の美術作品約200点、資料約500点に日本の作品約100点を交え、時代を超えた表現の響き合いを多角的に描き出している。

PLAY! MUSEUM(立川)と国営昭和記念公園

 都内屈指のイチョウ並木を誇る国営昭和記念公園。200メートル続く「カナール」や300メートルに及ぶ「かたらいのイチョウ並木」がつくり出す黄金色のトンネルは圧巻だ。同園では、夜の同園の魅力を伝える秋の恒例イベント「秋の夜散歩(あきのよさんぽ)」(10月29日〜11月29日)も開催される。イチョウ並木や日本庭園がライトアップされ、幻想的な秋の夜長を楽しめる。

国営昭和記念公園 ©︎PHOTO AC
きくちちき 『しろとくろ』 講談社 2019  ©︎ Chiki Kikuchi ※禁転載

 昭和記念公園に隣接する複合施設内のPLAY! MUSEUMでは、「絵本作家 きくちちき展 いきものRhapsody」(〜12月13日)が開催中。生命の躍動感をダイナミックな筆致で描く絵本作家・きくちちきの大規模巡回展だ。総数約150点の原画が並ぶほか、高さ3メートルに及ぶ描き下ろし30点で構成された巨大な「空間絵本」が初公開されている。

 また、園内の「こどもの森」では、中谷芙二子と北河原温による作品「霧の森」が展開されている。毎日10:00〜15:00(毎時00分・30分から各15分間)に発生する真っ白な霧に包まれる幻想的な体験もあわせて楽しみたい(12月1日〜2月28日は凍結防止のため休止)。