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2026.5.5

[弘前の前川建築を訪ねて(後編)]「ゆりかごから墓場まで」。弘前の街に息づく前川國男の建築、8つを巡る

日本近代建築の巨匠のひとり、前川國男。ル・コルビュジエに師事し、日本の近代建築を牽引した前川の足跡は、青森県弘前市に8件の建築群として現存している。全国的にも近代建築の維持が課題となるなか、なぜこれほど多くの作品が「現役」の公共施設として稼働し続けているのか。前編では行政や市民による保存・運用の仕組みに紐解いた。続く本稿では、それら8つの建造物を実際に巡り、各作品の建築的な特徴を紹介する。

文・撮影(*を除く)=大橋ひな子(編集部)

弘前市民会館、管理棟の内観

前川國男と弘前

 弘前には、日本近代建築を代表する建築家のひとり、前川國男(1905〜86)のデビュー作「木村産業研究所」を含む8つの前川建築が現存している。前編で触れた通り、前川の母方の実家が弘前藩士の家系であったという血縁上の縁や、渡仏中の木村隆三との出会いが、この地で長きにわたる設計を手がける契機となった。