EXHIBITIONS

平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ)1989–2019

Chim↑Pom Build-Burger 2016 ※参考図版 Photo by Morita Kenji Courtesy of the artist, MUJIN-TO Production, ANOMALY

the council of divina commedia (towata+matsumoto) DIVINA COMMEDIA 1991 ※参考図版 Photo by Fukunaga Kazuo ©︎ TOWATA-MATSUMOTO

Complesso Plastico LOVE AND GOLD Tokyo Version 1989 ※参考図版 Photo by Oguma Sakae

東北画は可能か?  方舟計画 2011 Photo by SENO HIROMI (FLOT)

灰原千晶、李晶玉 区画壁を跨ぐ橋のドローイング 2015

 京都市京セラ美術館の新館「東山キューブ」では、美術評論家の椹木野衣を企画・監修に迎えた展覧会「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ)1989–2019」を開催。1980年代後半より現代美術を鋭く批評してきた、椹木独自の視点で選定したアーティストたちや集団による、集合的活動にフォーカスした平成年間の美術を振り返る。

 椹木は1962年埼玉県秩父市生まれ。現在、多摩美術大学教授。91年に初の評論集『シミュレーショニズム―ハウス・ミュージックと盗用芸術』(洋泉社)を発表し、著書多数。近著『後美術論』(美術出版社、2015)で第25回吉田秀和賞を、『震美術論』(同、2017)で、平成29年度(第68回)芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。また「日本ゼロ年」展(水戸芸術館、茨城、1999〜2000)をはじめ、展覧会のキュレーションも多く手がけている。

 本展のキーワードは「うたかた」と「瓦礫(デブリ)」。「ベルリンの壁崩壊」「アメリカ同時多発テロ事件」「リーマンショック」「東日本大震災」「拡大するテロリズム」「多発する自然災害」など、1989〜2019年に起きた社会的事件や経済的事象、自然災害といった揺れる大地のうえで、美術がどのような変遷をたどってきたかを振り返る。また、幅約15メートルにおよぶ
「平成の大年表」も制作される。

 出展作家・プロジェクトは、Complesso Plastico、IDEAL COPY、テクノクラート、DIVINA COMMEDIA、GEISAI、Chim↑Pom、contact Gonzo、東北画は可能か?、DOMMUNE、パープルーム、突然、目の前がひらけて、クシノテラス、國府理「水中エンジン」再制作プロジェクト、人工知能美学芸術研究会[AI美芸研]の14組。

 本展は、1989〜2019年の日本の現代美術を大胆に総括し、アーティストたちがいかに、経済的な停滞と未曾有の災害に繰り返し見舞われた平成という時代に応答してきたかを探る。