EXHIBITIONS

西島大介個展 セカイ系のノスタルジア

 神奈川・海老名のダイエー海老名店内にあるパープルームギャラリーで、漫画家・西島大介の個展「セカイ系のノスタルジア」が開催される。

 西島は1974年東京都生まれ。2004年、描き下ろし単行本『凹村戦争』でデビュー。ベトナム戦争を描いた大長編『ディエンビエンフー』や、複製をテーマにしたファンタジー『世界の終わりの魔法使い』など。2020年に個人電子出版レーベル「島島」を設立。ほぼ全ての自著を電子配信し、「DJまほうつかい」名義ほかでの音楽のサブスク配信を実施。近年はゲーム制作と配信も行っている。読売テレビ「シノビー&ニン丸」、ベルナール・ビュフェ美術館「ビュフェくん」、広島市現代美術館「むだいさん」など、公式キャラクターのデザインも数多く手がける。近年の展示に、2024年広島市現代美術館「キャラクターの展開図」、シンガポールMIZUMA GALLERY「ART BIT MATRIX」、千葉市美術館「さいばぁぱんく:千葉市美術館」など。EXPO 2025大阪・関西万博では、「すしネーター」を展示。

 本展は西島の20年以上に及ぶキャリアを総覧するもとなる。漫画家による美術展と言えば漫画の原画やグッズを陳列するものが多く、本展にも漫画の原稿は展示されるが、同時に草稿、ドローイング、版画、油彩画、ぬいぐるみやフィギュアなどのグッズ、1979年製のゲーム筐体に仕込まれたフリーウェア「GB Studio」を用いたオリジナルのゲーム、音楽、分類が難しいマテリアルに至るまであらゆる形式のものが一堂に会す。さらに西島がパープルーム監修のもと初挑戦した油彩画や版画作品も展示する。

 また、本展では西島を、ゼロ年代のポップカルチャーから生まれた「セカイ系」という区分、想像力を体現してきた作家として位置づけながら、セカイ系の想像力の射程を超えて「そもそも作品をつくるとはなにか?」「作品における固有性の内訳とはなにか?」を問いかけていることを提示する。