EXHIBITIONS

特別展示

植物顔 – 日本・フィリピンの草木花実写真

 JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」で、特別展示「植物顔 – 日本・フィリピンの草木花実写真」が開催されている。

 インターメディアテクが掲げる理念のひとつは、アート&サイエンスにある。そのため、展覧会においては、東京大学の学術標本、すなわちサイエンスのために収集、製作、使用された各種の標本や什器が放つアートとしての魅力や潜在的価値を引き出す試みを続けてきた。

 同時に、アート&サイエンスは、アートをサイエンスする試みでもある。アーティストは何に魅力を感じ、いかにアートを生み出すのか。その経緯が研究対象となってる。

 本展「植物顔 – 日本・フィリピンの草木花実写真」では、フィリピンの写真家ジャン・マヨがレンズを通して表現する花と顔(貌)のアートの魅力を提示する。古来、花は人々が愛でるもの。いっぽう、人の魅力を象徴するとされる顔。両者の融合を通して新たなアートを追求してきたマヨの感性をインターメディアテクの展示空間で表現する。

 フィリピン国立自然史博物館では、「Faces and Flora」と題したマヨの写真展が2024年に開催された。フィリピン在来植物から着想を得た同展を発展させ、インターメディアテクならではの編集のもと、日本の在来植物も含めた植物と人の表情のアート性を喚起するのが今回の展示となっている。

 準備にあたっては、写真家マヨの感性を刺激した東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)の植物の検証が行なわれた。それは、フィリピンと日本の植生比較調査、また、アートの素材をうむ風土の理解にもつながるものとなった。

 本企画は、東京大学総合研究博物館とフィリピン国立博物館が2023年に更新した学術交流協定の成果の一部である。また、両国の国交正常化70周年を次年度に迎えるなか、2025年日比友好月間に今回の展示を開催することは文化外交の一環としても意義をもつとされる。