ロジャー・ジャヌワタ「僕のニューロン知りませんか」

　TAV GALLERYで、ロジャー・ジャヌワタによる個展「僕のニューロン知りませんか」が開催される。

　ロジャー・ジャヌワタは、近年日本のアートシーンで構築されたアイデンティティを持つ、実在しない架空のアーティストだ。この名前は偽名であり、実際に作品を制作・発表している人物は別に存在する。日本のアート関係者の一部はその正体を把握しているものの、その名は公に語られていない。

　ジャヌワタの作品は、陰謀論、民間伝承、スペキュレイティブ・フィクション、そして大衆文化を流用することで「絡みあった因果関係」を探求。これまでの作品では、龍神神話などの信仰体系を想起させ、世界の政治家の要素をドラマ化することで、真実、虚構、そして構築された物語のあいだの曖昧な境界を浮き彫りにしてきた。

　本展においてジャヌワタは、新作インスタレーション《CENTRAL》を発表。これは、同廊で展示されてきたプラマリーの作品群のなかで、これまででもっとも高額で取引される作品となるという。ほぼ完全に虚構の物語で構成された展示空間に置かれた《CENTRAL》は、唯一の「本物」を証明するオブジェクトとして提示される。同作品はまた、以前の展覧会で開始されたシリーズの延長線上にあるもので、浮遊する展示プラットフォームが神話的な力や地政学的なメタファーを暗示していた。本展は、物理的、制度的に、空虚な構造が意味を生み出す可能性を再考する。

　なお、既存の集団や制作会社との公式な提携関係はないとのこと。今回の展示は、ロジャー・ジャヌワタを演ずる個人とは無関係に存在する。このアプローチは、より広範な文化的、哲学的な、脱個人の著作と分散化への変化を反映しており、決定論と自由意志、著作と匿名性、真実とシミュレーションのあいだの未解決の緊張を反映している。