Thumbelina

　デカメロンで、Thumbelinaによる個展が開催されている。

　新宿・歌舞伎町のアートスペース・デカメロンで、1歳児の表現者であるThumbelina（トゥンベリーナ）による初の個展が開催。2025年3月より アーティスト・磯村暖を新ディレクターとして迎えた新体制「デカメロン」の門出を飾る展示となっている。

　Thumbelinaは2023年に誕生し、1歳で描画への熱意を注ぎ始めた。直感的な色遣いと自由なストロークが特徴的なペインティング作品は人間の原初的な創造的衝動性を感じさせるとともに、ひとりの表現者としての特異性を放つ。

　本展では、そのなかからThumbelinaが人生で最初に描いたペインティング作品群を展覧。また、会場では、本展ディレクターでありアーティストの磯村暖が制作した絵本『Thumbelina』も同時に展示している。

　企画を担当した磯村は次のように述べている。

「本展で初めてデカメロンの展示企画をさせていただく私、磯村暖は以前からよく観客としてデカメロンに来ていました。

　デカメロンは、2階がアートスペース、1階がバースペースとなっており、これまでアートスペースでは数々の印象的な展覧会やイベントが開催されていました。

　いっぽう、バースペースでは、鑑賞者、アート関係者、歌舞伎町の住人、アートにまったく興味のない人など、様々なバックグラウンドを持つ人々が集い、交わり、時に交わらず、思いがけない出会いや別れが繰り返されている様子を目にしてきました。

　人類に対して世界は広く、それでいて隔絶されていて、一生の内に出会わない人間のほうが多いでしょうか。

　人と人が出会うということはそれ自体が奇跡的なことですが、そのなかでもデカメロンという特殊な交差地点でのあるひとつの出会い、その出会いを発端としたThumbelinaの誕生、そして、Thumbelina自身が素晴らしい絵を描き始めるに至る様子を目撃した時、デカメロンがこれまでに築いてきた文化的な役儀にとどまら強いエネルギーを感じました。

　本展は、Thumbelinaのフレッシュな才能と原初的な創造のおもしろさに溢れた表現をお届けするとともに、前述のようなこれまでのデカメロンの役割を祝福し、これからも良き力場として育っていくことを願い、新体制デカメロンの第一弾展示として開催されるものです。

　生まれたばかりでありながら、既にひとりの人間としての個性を持つThumbelinaの表現が、本人の知る由もない偶然の連なりや、記されることのない歴史、人間関係の力学を超え、この不確かな世界に光をもたらしうるものとして受け入れられ、共有されていくことを願います」（展覧会ウェブサイトより）。