EXHIBITIONS
山上新平「Echoes of Unseen」
思文閣銀座で山上新平の個展「Echoes of Unseen」が開催される。
本展では、作家初の試みとなる大判サイズの作品のみを展観する。本展に際し山上は以下のステートメントを発表している。
「僕は嵯峨ほど寒い場所を知らない。気象的に寒いのではない。心的に寒いのだ。雪降る厳寒の季節がその純度を高める。静謐で異質な重力が心に去来するとき、命が震えを覚える。その磁場に宿る得体の知れない何かが心の温度を奪ってゆく。
山々には人間の感情を煮詰めたような音が轟き続け。長いときのなかで精製された霊魂がいまだ生きている事実を知る。一体、自分は何を見ているのか、何を感受しているのか。嵯峨の生が魅せるのか、嵯峨の死が魅せるのか。その異界へ足を踏みゆくとき、自分が何者かわからなくなり発狂と鎮魂の狭間で震えながらシャッターを一枚切る。
人の体温がこれほど欲しいと思ったことはない。誰かの体温に温まっていたいと思える自分にどこかで安堵さえする。その写真たちはほとんどがブレていた。その震えは寒かったからではない。見えざるものへの畏敬の念がそうさせたのだ。僕はそう信じたとき、やっと大きく息を一つ吐いた」。
本展では、作家初の試みとなる大判サイズの作品のみを展観する。本展に際し山上は以下のステートメントを発表している。
「僕は嵯峨ほど寒い場所を知らない。気象的に寒いのではない。心的に寒いのだ。雪降る厳寒の季節がその純度を高める。静謐で異質な重力が心に去来するとき、命が震えを覚える。その磁場に宿る得体の知れない何かが心の温度を奪ってゆく。
山々には人間の感情を煮詰めたような音が轟き続け。長いときのなかで精製された霊魂がいまだ生きている事実を知る。一体、自分は何を見ているのか、何を感受しているのか。嵯峨の生が魅せるのか、嵯峨の死が魅せるのか。その異界へ足を踏みゆくとき、自分が何者かわからなくなり発狂と鎮魂の狭間で震えながらシャッターを一枚切る。
人の体温がこれほど欲しいと思ったことはない。誰かの体温に温まっていたいと思える自分にどこかで安堵さえする。その写真たちはほとんどがブレていた。その震えは寒かったからではない。見えざるものへの畏敬の念がそうさせたのだ。僕はそう信じたとき、やっと大きく息を一つ吐いた」。