いけたく、ネルソン・ホー「B!OOM」

　GALLERY ETHERで「KYOBASHI ART WALL」第4回優秀作品にも選ばれたマレーシア出身のアーティスト、ネルソン・ホーと、東京出身のグラフィティアーティスト、いけたくによる展覧会「B!OOM 咲く」が開催されている。

　多くのアジア諸国では、個人の感情表現を抑えるように文化的な訓練がされており、怒りや悲しみのような自我に中心を当てた強い感情は、つねに社会的調和や秩序を阻害するものと見なされ、抑圧されることがある。いっぽう、感情は封じ込められるものではなく、これらの感情を適切に消化するツールや方法がなければ、やがて爆発し、人々の行動に有害な影響を及ぼすことにつながる。

　本展のタイトル 「咲く（ばく）」は、「咲く」と「爆」をかけた言葉遊びである。怒りというと、攻撃や悪態といったネガティブな印象を連想する人が多いが、怒りとは、痛みや愛情などの下層にある感情を理解するための防衛機能として働く感情でもある。

「B!OOM 咲く」は、グロテスクな彫刻とは対照的な芝生を用いるいけたくのアート思想と、絵画やインスタレーションを通して物語を語るネルソン・ホーのアート表現を組みあわせ「本当の意味での『怒り』とは何か」を観者自身が見つめ直すための"オアシス"となっている。