EXHIBITIONS

坂爪康太郎「BLINKERS -Morphogenesis-」

2024.09.17 - 10.12

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 TAV GALLERYで、坂爪康太郎による個展「BLINKERS -Morphogenesis-」が開催されている。

 坂爪康太郎は1988年東京都生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科陶磁専攻卒業。中空構造や、ペルソナをテーマとした企画展「アルカイの空 –Sky of the beginning」以降、本格的なデビューの個展となる。

「ブリンカーズ(Blinkers)」は、坂爪がつくる約10〜60センチメートルほどのろくろで形成された陶磁器の仮想生命体の「器」を指す総称であり、競馬などの競走馬に使われる視野を狭めることで競技に集中させることを目的とした実利的なマスク「ブリンカー」から名称が引用。あえて視野を狭めることを肯定的にとらえたとされるブリンカーズの様相は、電動ろくろを使った陶器制作にもとづいた穴の空いた回転体を3つ直列に配置することで、人間に備わった外敵と察知する防衛本能であるシュミラクラ現象を応用し、既視感があるようでない未知なる存在を彷彿とさせる。

 坂爪はもとより仮面の造形作家として知られており、胴体がなかった頃のブリンカー(仮面の形状のブリンカーズ)は暗黒舞踏家や気鋭ファッションブランド、アイドルグループのプロモーションに起用されるなど、領域横断的に活動を行なっていた。坂爪は、ブリンカーズの仮面としての役割と、そのコミュニケーションにおける機能性を「1、主観_仮面の裏(内側、自己)」「2、客観_仮面の表(外側、他者)」「3、大客観_仮面の裡(うら、口と目の間のスペース) 」の3つに分け、主観と客観が入り混じる裡(うら)の空間を「主体と客体の双方の視点が共鳴する平和な緩衝地帯」と説明し、仮面を通じた新たな生態系の成立の可能性を提示。

 本展では、ブリンカーズの原初的な姿であり、自然界には存在しない「白」をモチーフとした、新たなブリンカーズ・シリーズが生態系をなして約35体が出展されている。