田中福男「その種として」

　メグミオギタギャラリーで、田中福男の個展「その種として」が開催されている。

　田中は、透明度の高い耐熱性の理化学ガラスを使って作品を制作。ガラスアートの専門学校を卒業後、「Topnoch」というブランド名で作品を発表してきた。長年ガラスの研究を続けた田中は「インサイドアウト」と呼ばれる高度な技法をもちいて、自由自在に可憐で繊細な作品を生み出す。試験管状のガラスの外側に、点で打った別のガラスをバーナーで熱し、それが溶けて内側に入っていく過程で様々な模様に変化、全体の成形と同時に小宇宙を創造する。

　ガラスを1000度近くまで熱する制作環境は過酷を極め、その過程で負荷がかかり割れてしまう作品も少なくない。独特の色彩は、多彩な色ガラスや気化蒸着させた純金、純銀などの金属を加熱し、化学反応で生まれた色を組みあわせてつくられる。

　本展では、花が咲くように呼応し、分岐し、進化する、命を宿した新作ガラス約50点を一堂に紹介。田中の代名詞と言える内側への凝縮を表現した作品、また近年取り組んでいる、外へ広がる形の探求、具現化として「Selfish」シリーズの新作も登場している。

　また、同廊にて同時開催される土屋仁応個展「動物と人」では、木彫のガラスの玉眼を担当し、白眼・虹彩・瞳孔を表現、さらに今回初めて目以外のガラス部分も制作。