2025.7.18

「CAF・レジデンシー・プログラム2025」の助成対象者に中島伽耶子、原田裕規らが決定

現代芸術に携わる若手アーティストに国際的な活躍の機会を提供する新たな助成事業「CAF・レジデンシー・プログラム」。その第1回目の助成対象者に、中島伽耶子と原田裕規の2名が選出された。

左から、中島伽耶子、原田裕規
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 今年2月にスタートした、現代芸術に携わる若手アーティストに国際的な活躍の機会を提供する新たな助成事業「CAF・レジデンシー・プログラム」。その第1回目の助成対象者に、中島伽耶子(1990〜)と原田裕規(1989〜)の2名が選出された。

 「CAF・レジデンシー・プログラム」は、次世代の才能を発見し、彼ら/彼女たちが国際的に活躍できる機会を提供することを目的に実施している。対象となるのは、大学や大学院を卒業してから5~10年程度のアーティストで、作品ジャンルに制限はなく、個人でもユニットやコレクティブ単位での応募も可能となっている。

 第1回目となる今回は、多数の応募のなかから、書類選考を経て、選考委員との対面でのインタビュー形式で最終審査を実施。2名の採択者にはNY・ブルックリン実験アート財団(BEAF)にて3ヶ月間のレジデンス滞在の機会が授与されるほか、滞在期間中には、現地での新進気鋭のアーティスト、アート団体、コミュニティー、研究機関などとの交流の機会が設けられるという。

 選考委員は、野村しのぶ(東京オペラシティ アートギャラリー シニア・キュレーター)、吉竹美香(インディペンデント・キュレーター)、斯波雅子(ブルックリン実験アート財団[BEAF]共同創設者兼エグゼクティブ・ディレクター)の3名が担当。審査評としては、現代社会における課題について、制作活動を通じたどのようなアプローチができるのか。また、いままでの実績を踏まえて新たなるステップアップが見込めるかどうか。そして、「いま」NYに来ることの意義がどれほど際立つか、といったものが挙げられている。

 今回の選出結果に際し、中島と原田は次のようにコメントを寄せている。

<中島氏コメント>

作家として活動してきましたが、今が分岐点のように感じています。30代半ばという年齢的なこともありますし、能登半島地震で知人の多くが被災した姿を目の当たりにしたことで、自分の中で価値観が変わってしまったというのもあるかもしれません。今までの方法論ではダメだという漠然とした直感と足掻きの中で、今回の助成をいただき本当に嬉しく思います。皆様の力をお借りしながら、貴重なチャンスを楽しみたいです。

(プレスリリースより引用)
中島伽耶子 we are talking through the yellow wall 2023 東京 木に壁紙、テーブル、ドアチャイム、点字シール、アクリル樹脂、トランスジェンダー ・フラッグ、本棚、手書きの文字
写真=大倉英揮
中島伽耶子 Hedgehogs 2021 東京 壁にアクリル樹脂、ベル、スイッチ、玄関照明、扉
写真=加藤健
<原田氏コメント>

長い間、海外に出たくても出るチャンスを逃し続けていました。
海外挑戦の適齢期といえる30代前半にはコロナ禍が直撃。ようやくコロナが明けた頃には30代半ばに差し掛かり、海外渡航プログラムの年齢制限がチラつき始めました。このまま40代を迎えてしまうと、本格的に海外に出るチャンスはなくなってしまうのではないかと不安を覚えていたタイミングで、本助成に選出していただきました。
この大変貴重な機会をくださり、誠にありがとうございます。このチャンスを120%活用し、グローバルに活動できる作家へと成長したいと思います。

(プレスリリースより引用)
「TERRADA ART AWARD 2023ファイナリスト展」展示風景より、原田裕規《シャドーイング(3つの自画像)》(2024)
Photo: Katsura Muramatsu
長野県立美術館での展示風景より、原田裕規《残照》(2024)
Photo: Katsura Muramatsu