2025.6.12

SANAAのインスタレーションも設置予定。フリーズが新スペース「フリーズ・ハウス・ソウル」を9月に開設

アートフェア「フリーズ」が、韓国・ソウルの薬水洞に常設スペース「フリーズ・ハウス・ソウル」を開設。建築家ユニットSANAAによるインスタレーションも常設展示される。

フリーズ・ハウス・ソウルのイメージ Courtesy of Frieze

 ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ソウルで展開するアートフェア「フリーズ」が、ソウルに新たな展示スペース「フリーズ・ハウス・ソウル」を9月に開設することを発表した。

 ロンドンのギャラリースペース「No.9 コーク・ストリート」の成功を受けて企画された本施設は、ソウルの歴史と現代が交差する薬水洞(ヤッスドン)地区に位置する。文化と創造性の発信地として注目を集めるこのエリアに、1988年に建てられた建物をリノベーションしてオープンする予定だ。

 建築の改修設計は、ソウルを拠点とする建築スタジオ「Samuso Hyoja」が手がけた。建物は地上4階建てで、約210平米の展示スペースを備える。中央の室内エリアでは彫刻作品を展示予定であり、敷地内の広々としたガーデンでは年間を通じてイベントや特別企画が開催される見込みだ。

 庭園には、妹島和世と西沢立衛による建築ユニット「SANAA」が手がける常設のサイトスペシフィック・インスタレーションが設置される予定。同ユニットの「Drop Chair」や「Wuzhen Chair」シリーズを発展させた作品で、アルミ製の座面とステンレス製の脚部を備え、脚の先端に雨水がたまり、花のモチーフとともに円を描くようなデザインが特徴となっている。

 同施設は、短期のギャラリーレジデンシー、キュレーション展示、特別プロジェクトなど、多様なプログラムに対応する柔軟なスペースとして設計されている。フリーズが有する国際的ネットワークと専門性を活かし、アートフェアの枠を超えた現代アート体験の場となることを目指す。

 開設初期のプログラムは、今年の「フリーズ・ソウル」と連動して実施される予定で、フェアのパフォーマンス部門「フリーズ・ライブ」の拡張版をはじめ、市内各地での関連企画も計画されている。

 フリーズのフェア部門エグゼクティブ・ディレクターであるクリステル・シャデは、次のようにコメントしている。「フリーズ・ハウス・ソウルの開設は、韓国における私たちの活動の自然な進化であり、ソウルの活気あるアート・コミュニティとの関係をさらに深める場となるでしょう」。

 また、フリーズ・ソウルのディレクター、パトリック・リーは「フリーズ・ハウス・ソウルは、フリーズの創造的な精神を体現する場です。国際的および韓国の現代アートが対話し、ソウルの文化的エネルギーと実験精神を体感できる空間となるでしょう」と述べている。