ガウディの原点が蘇る。カサ・バトリョ、裏ファサードと中庭を100年ぶりに修復公開
2025年のユネスコ世界遺産登録20周年を前に、スペイン・バルセロナにあるアントニ・ガウディの名建築「カサ・バトリョ」が、その裏ファサードとプライベート中庭の修復を完了した。100年以上の時を経て、ガウディが構想した空間の本来の姿が、精緻な調査と職人技によって現代に蘇る。

スペイン・バルセロナに位置するアントニ・ガウディの代表作「カサ・バトリョ」は、2025年にユネスコ世界遺産登録20周年を迎えるにあたり、建物背面のファサードおよびプライベート中庭の本格的な修復を完了した。
今回の修復は、1906年の建物完成以来初となる包括的な取り組みであり、長らく失われていたオリジナルの色彩や構造を100年以上ぶりに明らかにするものとなった。

消えた色彩と構造の復元
修復は、5年に及ぶ大規模な保存プロジェクトの一環として進められ、陶器、ガラス、鉄細工、木工、スタッコ(化粧しっくい)など、あらゆる素材にわたり専門職人が参加。19世紀以来の伝統技術を、現代の安全基準と両立させる形で継承し、ガウディが描いた美学が忠実に再現された。総投資額は約350万ユーロ(約5億8200万円)に上り、建築遺産としての保存と、職人技の文化的継承の両面から注目を集めている。

修復対象のひとつである裏ファサードでは、壁面のトレンカディス(破砕タイルモザイク)やスタッコの色彩が本来の輝きを取り戻し、鉄製の手すりや木製の窓枠、バルコニーのモザイク床が再構築された。著しく劣化していた構造の補強も行われ、安全性の向上にも寄与している。

