2025.5.29

恵比寿の公園に名和晃平のパブリック・アートを設置。一時避難場所を周知

東京・渋谷区の恵比寿東公園に、防災意識の向上や災害への備えのため、彫刻家・名和晃平によるパブリック・アートが設置された。

名和晃平のパブリックアート
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 タコの形のすべり台があることでも知られる、東京・渋谷区の恵比寿東公園に彫刻家・名和晃平によるパブリック・アートが設置された。

 本作品は、災害時の一時退避場所と避難経路を来街者に周知するため、2017年に渋谷区によって発足したシブヤ・アロープロジェクトの一環として実施するもの。来街者が一時的に退避できる一時退避場所の位置を、アートを通じて情報発信し、防災意識の向上や災害への備えを行うことを目的としている。これまでに同プロジェクトの一環として、バリー・マッギー、森山大道、HITOTZUKI(ヒトツキ)ロッカクアヤコなどの壁画作品が制作されてきた。

 名和は1975年大阪府生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。Pixel(画素)とCell(細胞・器)が融合した「PixCell」の概念を基軸に、発泡ポリウレタン、ガラスビーズ、プリズムシートといった多彩な素材が持つ特性と最先端の技術をかけ合わせた彫刻制作、空間表現を行っている。

 今回、名和が制作したのは、自身の代表的な彫刻シリーズ「Ether(エーテル)」と、それを見上げる人物のモチーフを組み合わせた作品だ。「Ether」は滴が地面に落ちる際のシルエットを取り出し、それを上下反転させながらランダムに積み重ねることで造形されている。本作ではそのフォルムを見上げる人影を通じて、生命の連なりや自然と人間の関係性へと思考を誘うという。

名和晃平のパブリックアート

 なお、本作は名和とダンサー・田中泯とのコラボレーションのもと、2024 年に公開されたパフォーマンス作品《彼岸より》をきっかけに生まれた。本作の赤色は、危険を示す警告色であることともに、《彼岸より》で田中の身体を包んだ泥の色でもある。