2024.9.12

「あいち2025」が参加アーティスト32組を発表

2025年9月13日〜11月30日に開催される国際芸術祭「あいち2025」の参加作家32組が発表された。

 2025年9月13日〜11月30日の79日間にわたり開催される国際芸術祭「あいち2025」が、参加作家32組を発表した。

 国際芸術祭「あいち」は「あいちトリエンナーレ」を前身とするもので、2022年の初回に続き、次回で2回目となる。

 今回の芸術監督は、アラブ首長国連邦出身でシャルジャ美術財団理事長兼ディレクター/国際ビエンナーレ協会(IBA)会長を務めるフール・アル・カシミ。テーマは「灰と薔薇のあいまに」となっており、これはモダニズムの詩人アドニスが1967年の第三次中東戦争後に書いた詩からとられたものだ。フール・アル・カシミはこのテーマについて、「時代は違うが、パレスチナやスーダンなど各地で戦争が発生するなか、私たちは何を見出し、どのように芸術がその状況を紐解き、美しい将来を描けるのか」としつつ、マンガ家・五十嵐大介によるキービジュアルがそれを表現しているとコメント。五十嵐は以下のような言葉を寄せている。

このシンプルで豊かな詩を絵にする。私がまず考えたのは「薔薇はどこに咲くのだろう」という事でした。灰は理不尽な破壊や死の結果なのか? だとしたら薔薇は死者の国に咲くのかもしれない。わたしは死者の国の住人として幽霊を描くことにしました。描いているうちに、死んでいるはずの幽霊たちが少し生き生きとしてきたような気がしました。“ 死者の国”と思っていたのはもしかしたら”生まれる前の者たちの国”なのかもしれない。それがこの絵です。(プレスリリースより)

 現時点での参加作家数は32組で、最終的な数の半分以上。現代美術では、バゼル・アッバス&ルアン・アブ゠ラーメ、マイサ・アブダラ、ジョン・アコムフラ、マリリン・ボロル・ボール、ミネルバ・クエバス、エレナ・ダミアーニ、ソロモン・イノス、シモーヌ・ファタル、札本彩子、ウェンディー・ヒュバート、イキバウィクルル、加藤泉、是恒さくら、マユンキキ、シャイハ・アル・マズロー、ムルヤナ、ワンゲチ・ムトゥ、永沢碧衣、ダラ・ナセル、小川待子、大小島真木沖潤子、フリストドゥロス・パナヨトゥ、マイケル・ラコウィッツ、シルビア・リバス、西條茜佐々木類、ヤスミン・スミス、冨安由真、アドリアン・ビシャル・ロハスが名を連ねる(2月発表分の4組含む)。

 またパフォーミングアーツには、AKNプロジェクト、ブラック・グレース、クォン・ビョンジュン、オル太、セルマ&ソフィアン・ウィスィ、態変が参加する。

 フール・アル・カシミはこれらアーティストたちについて、「植民地に対する思想、環境、ストーリーテリング、歴史的な遺産、ヒューマニティといったキーワードがすべての作品に共通している」と語っている。

 同芸術祭では学芸統括を飯田志保子(キュレーター)が務め、現代美術のキュレーターを入澤聖明(愛知県陶磁美術館学芸員/キュレーター)が、パフォーミングアーツのキュレーターを中村茜(パフォーミングアーツ・プロデューサー)が、ラーニングのキュレーターを辻琢磨(建築家)が務める。また、キュレトリアルアドバイザーは石倉敏明(人類学者/秋田公立美術大学アーツ&ルーツ専攻准教授)と趙純恵(福岡アジア美術館学芸員)が担う。

 なお、会場は「あいちトリエンナーレ」時代から使用されてきた名古屋市中心部の愛知芸術文化センターのほか、愛知県陶磁美術館、瀬戸市内が舞台となる。