2021.5.25

来年開催「あいち2022」の主要会場が発表。芸文センターに加え一宮市、常滑市なども会場に

「あいちトリエンナーレ」の後継国際芸術祭として来年初開催される「あいち2022」。その主要会場が発表された。

愛知芸術文化センター 提供=国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局
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「あいちトリエンナーレ」の後継として、来年から新たに開催される国際芸術祭「あいち2022」(2022年7月30日~10月10日)。その主要会場が発表された。

 森美術館館長の片岡真実を芸術監督に迎え、「STILL ALIVE(いまだ生きている)」をテーマに掲げる今回。会場は愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、名古屋市有松地区となる。

 一宮市は愛知県の北西部に位置する人口約38万人の中核市。江戸時代より綿織物の生産が盛んとなり、絹綿交織物の生産を経て、毛織物(ウール)生産へと転換、「織物のまち一宮」と呼ばれるようになった。

一宮市 提供=国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局

 知多半島の中央、西海岸に位置する人口約6万人の常滑市は、平安時代末期頃から「古常滑」と呼ばれる焼き物の産地として知られ、瀬戸、信楽、越前、丹波、備前と並び、日本遺産に認定された日本六古窯のひとつ。沖合に中部国際空港(セントレア)があり、中部圏の空の玄関口となっている。

常滑市 提供=国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局

 有松地区は名古屋市南東部に位置するエリアで、江戸時代より「有松・鳴海絞」の製造・販売により発展してきた東海道沿いのまち。このエリアは歴史的な町並みを保存する「町並み保存地区」に指定されており、 2016年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定、19年には文化庁から日本遺産に認定されている。

有松地区 提供=国際芸術祭「あいち」組織委員会事務局

 片岡は一宮市や常滑市などを選定した背景について、「固有の文化的な歴史を持つ会場を探していた」とコメント。「都市の規模ではなく歴史を重視した。それぞれの地域の魅力を発揮しながらいかに芸術祭の会場になるか。アートだけでなく、街を楽しんでいただきたい。愛知の歴史を学ぶ機会になれば」と語る。

 これまでのあいちトリエンナーレで主要会場となってきた名古屋市の愛知芸術文化センターは今回も会場のひとつとなるが、片岡は「物理的な展示規模は差が出てくるが、意味としては会場のヒエラルキーをなくしたい」とコメント。愛知芸術文化センターを「メイン会場」とし、ほかを「サブ会場」とするような区分をなくす考えを示した。

 なお、これまでトリエンナーレ時代に会場となっていた名古屋市美術館は会期中の使用予定が決まっていたといい、会場からは外された。名古屋市内の長者町や四間道などのエリアについては「イベントやパフォーミングアーツの会場として検討していきたい」としている。

 また個別の会場については今後、各参加アーティストとともに検討していく予定だという。

 あいち2022では「現代美術」「パフォーミングアーツ」「ラーニング」「連携事業」「オンライン展開」の5つのプログラムが展開され、「現代美術」ではコスミン・コスティナス(パラサイト エグゼクティブ・ディレクター/キュレーター)やラーナ・デヴェンポート(南オーストラリア州⽴美術館館⻑)、マーティン・ゲルマン(インディペンデント・キュレーター)、島袋道浩(美術家)など、海外のアーティストを推薦するキュレトリアル・アドバイザー9人に加え、中村史子(愛知県美術館主任学芸員)と堤拓也(キュレーター/グラフィックデザイナー)の国内のキュレーター2名がキュレーションを担当する。