2025.7.23

「諏訪敦|きみはうつくしい」がWHAT MUSEUMで開催。新作を中心に約80点を展示

現代日本の絵画におけるリアリズムを牽引する画家・諏訪敦の3年ぶりとなる大規模個展「諏訪敦|きみはうつくしい」が、東京・天王洲のWHAT MUSEUMで開催される。

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 寺田倉庫が運営する「WHAT MUSEUM(ワットミュージアム)」で、画家・諏訪敦にとって約3年ぶりとなる大規模個展「諏訪敦|きみはうつくしい」が開催される。会期は9月11日〜2026年3月1日。

 諏訪敦は1967年北海道生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。94年に文化庁芸術家派遣在外研修員としてスペインに滞在。翌95年にスペインの第5回バルセロ財団主催 国際絵画コンクールで大賞受賞。2018年より武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。主な展覧会に「諏訪敦絵画作品展 どうせなにもみえない」(諏訪市美術館、2011)、「諏訪敦 HARBIN 1945 WINTER」(成山画廊、2016)、「諏訪敦 眼窩裏の火事」(府中市美術館、2022)などがある。

諏訪敦
ポートレート撮影=野村佐紀⼦

 本展は、約80点を展示することで諏訪の現在に至るまでの制作活動の変遷を多角的に紹介するもの。うち約30点は、本展のために制作した静物画をはじめとする初公開作品だ。展示構成はキュレーターの宮本武典が担当。

 例えば本展のメインビジュアル作品にも採用された《汀にて》は、新型コロナウイルス感染拡大により、モデルを使った対面の制作ができなくなった諏訪が、家族を介護しながら自宅アトリエで進めてきた静物画研究の集大成。コロナ禍以降「人間を描きたいという気持ちを失ってしまった」と語る諏訪。本作は、アトリエで見出した材料(古い骨格標本、プラスター、外壁充填材など)でブリコラージュした人型(ひとがた)を描いた大型絵画で、絵画のモチーフとなった人型と、その制作途中を記録した素描もあわせて展示される。

汀にて Drawing 02 2025
Photo by Keizo KIOKU
アトリエ風景
Photo by Keizo KIOKU

 また本展では、芥川賞作家の藤野可織が、静物画の制作に没頭する諏訪のアトリエを度々訪問し、その絵の印象をもとに掌編小説を書き下ろし。小説はハンドアウトに印刷して本展の来場者に配布される。諏訪が「死んで静まっているもの」と語る静物画たちがどんな物語となるのか、絵画と文芸のコラボレーションに注目だ。

藤野可織
(C)森山祐子/anan
肉叢 2025
Photo by Keizo KIOKU
emptiness 2024
Photo by 筒口直弘
東と西 2015
山本美香 2014
Photo by 南高正