2025.7.9

資生堂ギャラリーで「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」が開催。「万物資生」の考えを起点に作品を制作

資生堂ギャラリーで、「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」が開催される。会期は8月26日~12月7日。

Spectrum 2024 ヴィンテージ生地、ベッド、ベッドカバー サイズ可変
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 東京・銀座の資生堂ギャラリーで、「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」が開催される。会期は8月26日~12月7日。

 髙田安規子・政子は、一卵性双子のユニットで活動するアーティスト。身近な素材を用い、空間や時間の「スケール(尺度)」をテーマに作品を制作している。作品は、数学や物理学的アイデアを背景に繊細な手仕事や緻密な構成で生み出され、アートと科学を融合させた独自の感性により表現されているのも特徴のひとつだ。また、展示する場所をリサーチし、その特性を生かした展示を行うことでも知られている。

髙田安規子・政子

  2人は2024年、資生堂の文化施設である資生堂企業資料館、資生堂アートハウスの両施設(静岡県掛川市)を訪れ、資生堂の社名の由来である易経(えききょう)の一節「至哉坤元 万物資生(いたるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)」(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか。すべてのものは、ここから生まれる)に出会った。自分たちの自然観と重なりあうとのことから、本展では「万物資生」の考えを起点に、生命やその成り立ち、進化の歴史を時間の層として描き出しながら、自然の法則で宇宙までつながる時空間を、スケールとともに巨視的・微視的にとらえ可視化することを試みるという。

Strata 2022 化石、古本、鉱石、岩石、生物の骨 サイズ可変
Timepiece 2022 砂時計、砂 サイズ可変

 展示の中心となるのは、本を積み重ねて地層に見立てた新作《Strata》(2022)。地層は、生物の生態や自然環境の情報が刻み込まれた「歴史書のようなもの」という例えから着想を得て、資生堂ギャラリーの小展示室の床から踊り場の床下までつながる本棚に、約500冊の本と、そのあいだに鉱石や化石を配置し、生物の誕生から人新世までの時と知の連なりを表現するという。同じく新作となる《Timepiece》(2022)は、割れた砂時計からあふれ出した砂、石、岩で構成され、時間の概念について考えさせると同時に受け継がれていく生命、あるいは生命の終焉を想起させる。

 また、自然界に広くみられるフラクタル形態を用いて自然の摂理における「個」と「全体」について言及した《Can't see the forest for the leaves》(2022)、すべての生命の源となる光をテーマにした《Spectrum》(2024)など、新作とこれまでの作品を再構成したものを中心に約20点が展示されるという。

Relation of The Parts to The Whole 2022 鏡、金具 サイズ可変
Can't see the forest for the leaves 2024 アンティーク ポストカード、顔料インク、葉 30×42センチメートル(額装サイズ)