2025.6.20

ハンセン病療養所を訪れた写真家が残した記録。鈴木幹雄の写真集刊行記念展が全国3ヶ所で開催へ

写真家・鈴木幹雄の写真集『命の記憶 ─ 沖縄愛楽園1975』の刊行を記念した写真展が、沖縄愛楽園交流会館、PURPLE、TOBICHI東京の全国3ヶ所で開催中だ。

撮影=鈴木幹雄
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 ハンセン病療養所・沖縄愛楽園を1974年12月から76年1月にかけて撮影してきた写真家・鈴木幹雄(1949〜)。その写真集『命の記憶 ─ 沖縄愛楽園1975』の刊行を記念した写真展が、沖縄愛楽園交流会館(沖縄、5月17日〜10月31日)、PURPLE(京都、5月23日〜6月22日)、TOBICHI東京(東京、6月26日〜7月13日)の全国3ヶ所で開催中だ。

 鈴木幹雄はいまから50年前、「本土復帰」から間もない沖縄県名護市にある国立療養所沖縄愛楽園を訪問。ハンセン病の回復者・患者たちが隔離のなかで生き、日々の暮らしを営むすがたを丁寧に撮影してきた。差別や偏見が根強く残る当時の社会において、一般の入所者が顔や名前を明かすことは極めて困難であった。それでも鈴木の写真には、孤独や悲しみと向き合いながらも、自分の人生を少しでも豊かにしようと懸命に生きる一人ひとりの様子がとらえられている。

撮影=鈴木幹雄

 撮影からちょうど半世紀を迎える節目として、今年5月には赤々舎より写真集『命の記憶一沖縄愛楽園1975』を刊行。刊行を記念した写真展は、沖縄愛楽園交流会館を主催地として、京都・東京を巡回中だ。なお、TOBICHI東京の初日となる6月26日には鈴木によるギャラリートークのほか、7月5日には関連イベントとして作家・ハンセン病回復者である伊波敏男による講演会「病み葉ての戻り道」(予約制)も開催予定。この機会にぜひ足を運んでみてほしい。

展示風景 撮影=木村直
展示風景 撮影=木村直
展示風景 撮影=木村直