サントリー美術館で「幕末土佐の天才絵師 絵金」が開催。東京の美術館では初の大規模展
東京・六本木のサントリー美術館で「幕末土佐の天才絵師 絵金」が開催される。本展はあべのハルカス美術館、鳥取県立博物館からの巡回であり、東京の美術館では初の大規模展となる。会期は9月10日〜11月3日。

東京・六本木のサントリー美術館で、幕末から明治初期にかけて数多くの芝居絵屏風を残した絵金(1812〜76)の作品を取り上げる展覧会「幕末土佐の天才絵師 絵金」が開催される。本展はあべのハルカス美術館(2023)、鳥取県立博物館(2024)からの巡回となり、東京の美術館では初の大規模展となる。会期は9月10日〜11月3日。
土佐の絵師・金蔵は高知城下・新市町(現・はりまや町)の髪結いの子として生まれた。幼少時より画才のあった金蔵は、同じ町内の南画家や土佐藩御用絵師に絵を学び、18歳のとき、土佐藩主の息女・徳姫の駕籠かきの名目で江戸にのぼる。駿河台狩野派の土佐藩御用絵師・前村洞和(まえむらとうわ)の下で3年間修業し、帰郷後は土佐藩家老の御用絵師となる。しかしその後、理由は定かでないが城下を追放され、中年以降いつどこで制作していたのか不明となっている。墓碑銘によると金蔵から絵の手ほどきを受けた者は数百人おり、明治9年(1876)に亡くなった後も、金蔵と弟子筋の手による芝居絵屏風や絵馬提灯は多数残っている。現在でも地元の高知では「絵金さん」の愛称で長年親しまれている。
芝居絵屏風とは、歌舞伎や浄瑠璃のストーリーを極彩色で絵画化したもの。1966年に雑誌「太陽」で特集されたことを契機に、小説・舞台・映画の題材として取り上げられたものの、その多くが神社や自治会などに分蔵されており、それらをまとめて観られる機会は滅多にない。高知県外での展示は半世紀ぶりとなる本展は、大阪、鳥取を巡回し、ついに東京で開催される。