EXHIBITIONS

ルートヴィヒ美術館展

20世紀美術の軌跡—市民が創った珠玉のコレクション

ワシリー・カンディンスキー 白いストローク 1920
Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 10003.(Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d056273_01)

カジミール・マレーヴィチ スプレムス 38番 1916
Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01294.(Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d033965_01)

エルンスト・バルラハ うずくまる老女 1933
Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 76/SK 0047.(Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_c005052)

アレクサンドル・ロトチェンコ ライカを持つ少女 1934[プリント:1934以降]
Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML/F 1978/1072.(Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_c009362)

ヴォルス タペストリー 1949
Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01167.(Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, Peter Kunz, rba_d032855_01)

モーリス・ルイス 夜明けの柱 1961
Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01091.(Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d040139)

 国立新美術館で「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡—市民が創った珠玉のコレクション」が開催される。6月29日から9月26日まで。

 1986年、ケルン大聖堂にも隣接するライン河畔に開館したルートヴィヒ美術館。ドイツ第4の都市・ケルン市によって運営され、20世紀から現代までに特化した優れたコレクションは、2度の世界大戦と東西ドイツ分裂の時代を生きた寄贈者たちの支えで形成されてきた。

 なかでも、館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻は、美術館の顔とも言うべき存在。ともに大学で美術史を学んだ実業家のペーター・ルートヴィヒと妻イレーネが寄贈した、ヨーロッパ随一の優れたポップ・アートのコレクションやロシア・アヴァンギャルドの貴重な作品群、また数多くのピカソの優品は同館のコレクションの核を成している。

 いっぽう、表現主義や新即物主義などドイツ近代美術の名品の多くは、ケルンで弁護士として活躍したヨーゼフ・ハウプリヒが収集した。ハウプリヒは、第二次世界大戦から守り抜いた貴重な作品群を、戦後まもなくケルン市に寄贈し、社会に大きな希望を与えた。

 本展では、ルートヴィヒ美術館のコレクションの代表的な作品を、寄贈にかかわったコレクターたちに焦点を当てて紹介。ドイツ表現主義や新即物主義、ロシア・アヴァンギャルド、ポップ・アートなどの作品152点が一堂に揃う。

 代表的なコレクションに加え、写真芸術発展の支援者でありコレクターのレオ・フリッツとレナーテ・グルーバー夫妻の購入と寄贈をもとに、圧倒的な質と量を誇るまでに成長した写真コレクションや、現代美術を振興する様々な取り組みを経て収蔵された、2000年代以降の作品も見どころとなる。

 美術を愛する個人の活動が、寄贈や支援という行為によって社会に接合する場として機能してきたルートヴィヒ美術館。今回来日する作品はいずれも、美術館と市民との生きた交流の証であり、本展は、社会における美術館の意義と役割を見つめ直すきっかけをくれるだろう。