EXHIBITIONS

ACT(Artists Contemporary TOKAS) Vol. 1

霞はじめてたなびく

佐藤雅晴 福島尾行 2018

 トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が新たな展覧会シリーズ「ACT(Artists Contemporary TOKAS)」をスタート。本シリーズは、TOKASのプログラムに参加経験のあるアーティストを中心に、いま注目すべき活動を行うアーティストを紹介していく。

 初回となる本展では、季節の移ろいを感覚的にとらえ直し、いままで見えていなかった風景を浮かび上がらせる3名の作家、佐藤雅晴、西村有、吉開菜央を迎える。

 佐藤は1973年大分県生まれ。実際の風景を映像に撮り、1コマ1コマをパソコン上でトレースする方法で、アニメーションを制作している。本展で発表する新作の映像インスタレーション《福島尾行》は、佐藤が癌闘病中に取り組んだ作品。震災以降、旅で訪れた福島の風景を癌に侵されていく自身の身体と重ね合わせるように取り込み、一部をアニメーション化することで、日常と非日常の境界を曖昧にし、鑑賞者を映像の中の旅へと誘う。

 西村は82年神奈川県生まれ。実在する風景の再現ではなく、自身の日常的な気づきを重ねて「いま」を描いている。どこかで見たことのあるような風景や人物、あるいは物語のワンシーンを思わせるような絵画は、隣り合って展示されることで、それぞれの作品との間に自然と物語が生まれるように構成される。本展では、展覧会タイトルに呼応した新作ペインティングを出展予定。

 吉開は87年山口県生まれ。身体的に得られた感覚を映像と音で表し、新たな映像表現を追求している。2017年には、大正期に流行した心身修養法のひとつである「岡田式静坐法」を展開していた京都・静坐社の建物が取り壊される直前に、そこで映画『静坐社』を制作。「岡田式静坐法」の実践とリンクするように、身体の動きに伴って生まれる音を丁寧に描き出し、普段では気がつかない風景を表出させた。本展では、鑑賞者の身体と一体となるような映像インスタレーションを発表する。