ポイントレス

　亀戸アートセンターで、ヘルミッペによる個展「ポイントレス」を開催される。

　ヘルミッペは、数年前からストリートアートの要素や日常生活の断片を取り込みながら、都市や個人の記憶を独自の視点で描き出してきた。

　本展では、ヘルミッペ自身の生活圏や思考の軌跡を、風景画のなかに落とし込んだ連作を発表する。連作は全16点で構成され、生まれ育った多摩ニュータウンや、現在生活している土地、展覧会会場の亀戸アートセンターなど、作家が実際に関わってきた場所をモチーフにしている。

　今回発表される連作をもとに制作された16枚のカード作品は、カルタのように風景とテキストが組み合わさった構成で、カードゲーム作家「ポイエータイ・いえきよ」とのコラボレーションによって独自のルールを持つゲームとしても成立している。
　
　会場では作家の生活と関わりの深い寺院「簗田寺」に併設された調香所「まとい」によるオリジナルのお香を使用した「薫習（くんじゅう）」の体験も行われる予定。来場者が持参した布や衣服に香りを染み込ませて持ち帰るこの試みは、「良い行いを日々積み重ね、香りのように身につける」という仏教の教えから着想を得たものである。