オノ・ヨーコ「A statue was here　一つの像がここにあった」

　小山登美夫ギャラリー六本木と天王洲で、オノ・ヨーコによる個展「A statue was here　一つの像がここにあった」が同時開催されている。

　70年以上にわたるキャリアを通して、アート界だけではなく社会的にも影響を及ぼしてきたオノ・ヨーコ（1933〜）。インストラクション、オブジェ、映画、音楽、パフォーマンスからインスタレーションまで多様で革新的な表現は、観者の想像力と行為を引き起こすものであった。オノの詩的な作品は、日常のものや精神を因習的な概念から解放し、人間同士の関わりの重要性を強調する。

　現在においてもオノは旺盛な活動を続けており、2024年のテート・モダンでの大規模個展が話題に。ほかにも、ベルリンの新ナショナルギャラリー、New Berlin Art Society、マルティン・グロピウス・バウなど3ヶ所以上で個展が開催されている。

　また日本でも大阪・関西万博「静けさの森」で、地面の穴の中の鏡が空を映し天地を一体化したような《Cloud Piece》（1963）を展示。6月9日まで開催されていた「ART OSAKA 2025」Expandedセクションでは、《FLY》（1963）を再構築したインスタレーションを展覧していた。

　本展は、オノにとっての同廊での9年ぶり3度目の個展となっており、スタジオ・ディレクターのコナー・モナハンがキュレーションを担当。

　六本木の会場では、白と透明色の、アクリルと既製品を組みあわせた作品に焦点をあてる。オノはそれらの作品を「コンセプチュアル・オブジェクト」と呼んでおり、そのうちの数点は1966年ロンドンのインディカ・ギャラリーでの個展、および翌年1967年リッソン・ギャラリーでの個展で最初に発表されたものだ。本展の出品作は、オノが制作した初めてのオブジェ作品のうちの一部である。

　天王洲では、来場者の参加とパフォーマンスを促す鑑賞型作品である《Wrapping Piece》《Draw Circle Painting》を主に展示している。