EXHIBITIONS

トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2025 成果発表展「リンガ・フランカ」

2025.05.17 - 06.22, 2025.07.05 - 08.10

メインヴィジュアル

 トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)本郷で、トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2025 成果発表展「リンガ・フランカ」が開催されている。

 TOKASでは、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、様々な分野で活動するアーティストたちへ滞在制作の機会を提供している。本展では2期にわたって、東京や世界各国のレジデンスに滞在した総勢14名の国内外のアーティストたちがその成果を発表。第1期では「分断を越えて」というテーマを共有してTOKASレジデンシ―で滞在制作を行なったアーティストを含む7名が、第2期では2024年度に提携機関に派遣、あるいはTOKASへ招聘された作家たちが、同じ空間を共有し行うグループ展となっている。

 人類は、地球上の異なる地域で、それぞれの自然と共存、適応しながら、社会生活を営み、固有の文化や習慣、言語を発達させてきた。気候の変化や資源の確保といった様々な理由により、集団は別の土地へ移動し、そこで自分たちとは異なる背景を持つ別の社会集団と出会う。そのなかで、互いの集団が用いる言葉同士が接触し、互いに影響しあい、単純な意思疎通を可能にする言語が生まれた。さらにそれが土地への定着や融合を繰り返すことで、新たな共通言語リンガ・フランカとして発展する。

 本展に参加する14名のアーティストたちも、各地のレジデンス滞在中に異なる文化的背景を持つ人々と交流を深め、彼らが抱く問題意識や興味を追いながらリサーチを進め、その経験を凝縮させてきた。そして、それらは作品のかたちとなって空間に立ち現れ、他者に何かを伝える媒体となる。

 異なる母語話者同士が、意思疎通を図るために生まれ発展したリンガ・フランカのように、本展を通じてまだ知らなかった世界、自分では意識してこなかった事柄に触れることで、自分を取り巻く背景や因習、固定観念などから解放され、互いを理解するための新しい言葉を得られるかもしれない。

 参加アーティストは、第1期に、ボリャナ・ヴェンチスラヴォヴァ、木村桃子、カルメン・パパリア、久松知子、森あらた、山田悠、リスキー・ラズアルディ。第2期に、AKONITO、綾野文麿、金サジ、小宮知久、陳哲(チェン・ズ)、露木春那、クリストファー=ジョシュア・ベントン。