EXHIBITIONS

イ・ビョンチャン「アリの消失点」

Lee Byungchan O BRAVE NEW WORLD SeMA Storage / Korea 2019.9.26-10.26

 アートフロントギャラリーで、イ・ビョンチャンによる個展「アリの消失点」が開催される。

 本展は、ショーウィンドウ展示の特性にあわせて構成された。商品が消費される場面を「消失点」ととらえ、韓国では「普通の人々」もしくは「群衆」と表現される「アリ」が、光と形が消えていくその消失点へと集まる様子を表している。

 形を失いながら商品に引き込まれ、やがて一点へと収束していく光景は、異なる個々の性質がひとつの方向へと向かい、多様な形態が最終的にひとつへと統合される過程を示唆している。

 今回の展示には、壁面にいくつかの凹面鏡が設置され、その前には有機的なフォルムのオブジェが配置。呼吸するようにわずかに動くこのオブジェは、凹面鏡の中で歪み、変形した姿を映し出す。周囲に配置された照明は、その歪んだフォルムの起伏を際立たせ、独特の視覚効果を生み出している。

 また「身にまとう」という行為を取り入れた作品を、映像作品とともに展示。映像には、作品を身につけた人が都市のあちこちを歩き、鏡に映る自らの姿を確認する様子が記録されている。自身の形態が完全に残っているかを随時確かめるこの映像作品は、消失点へと向かう消費のあり方を観察する試みである。