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スタフ・シュムスキー個展:ジャカード・テストVol.2

スタフ・シュムスキー

 オン・サンデーズ&ライトシード・ギャラリーで「スタフ・シュムスキー個展:ジャカード・テストVol.2」が開催されている。

 スタフ・シュムスキーは1992年ポーランド・グダニスク生まれ。ワルシャワ美術アカデミーメディアアート学科を卒業。キャンバス、ノート、壁画、テキスタイルを通じてポップカルチャー、広告やプラスチックの屑などを題材とした光景が広がるような作品を展開。シュムスキーは世界の視覚的な鮮やかさを非難したり暴いたりするのではなく、自らの絵画を検証し、分類することによって、廃棄物から創造へのつながりを見出す。

 先史時代の壁画、新石器時代のペトログリフや中世のシンボルから、現代のグラフィティや解体されたロゴタイプまで、人々のコミュニケーションに使われてきた図像的モチーフを引用し、解体して作品にしてきたシュムスキー。その作品はペインティング、ドローイング、彫刻、インスタレーションなど様々な手法によって制作されてきたが、近年アーティストが集中して取り組んでいるのがジャカード・テキスタイルを取り入れた作品である。

 ジャカード織は、1804年フランス・リヨンに生まれ育ったジョゼフ・マリー・ジャカールによって、もっとも初期のプログラム可能な織機として発明。当時の皇帝ナポレオン・ボナパルトはジャカード織機に関する特許をリヨン市に与え、見返りとしてマリー・ジャカールは生涯続く3000フランの年金と、ロイヤリティを受け取ることになった。その織機は、IBMが現代のコンピュータを開発するために使用したデジタルコンパイラの初期バージョンなど、ほかのプログラム可能な機械の開発にも重要な役割を果たした。

 シュムスキーによれば、ジャカード・テキスタイルの制作は、絵画や写真のようなアナログ作品を、原始的な低解像度のデジタル・ユニバースに持ち込む経験であり、テキスタイルの物質性はシュムスキーの作品に新たな美的フェーズをもたらすものであったという。この技術は、形、色のつながり、テクスチャーの最大限の多様性を実験し、自律的な作品制作のプロセスを無限に続けることを可能にするとシュムスキーは考えている。

 今回、シュムスキーは、2024年にワルシャワのギャラリーで初めて発表したジャカードによる作品シリーズの新作を制作、展示している。テクノロジーと人間の関係性への独自の視点のもと、視覚的コミュニケーション・ツールを大胆に用いた図像として提示するアーティストの新たな試みを見る。