金田実生「親しさの温度」

　GALLERY CAPTIONで、金田実生による個展「親しさの温度」が開催されている。

　金田実生は1963年東京都生まれ。1988年多摩美術大学大学院修了。大学ではグラフィックデザインを専攻しながら、次第に版画研究室に通い詰めるようになり、作家としてのキャリアを版画からスタート。その後、より直接的な線の表現を求めて、木炭や水溶性クレヨンによるドローイング、礬水（どうさ）引きをした洋紙を支持体とした繊細な油彩による表現、そしてキャンバスへと移行しながら、素材や技法の特性と、自身の表現との可能性を模索し、一貫して平面作品を制作し続けている。

　金田は、身のまわりの何気ない出来事や、日々の生活のなかでの自然や生き物とのささやかな交感を豊かな感性で描き出す。紙の上を潔く伸びるストローク、キャンバスに丹念に塗り重ねられた湿り気のあるおだやかな色合いは、抽象とも具象ともとれるような有機的なイメージを保ちながら、添えられた詩的なタイトルと相まって、観者のイメージをかきたてる。

　本展では、同廊では初めての個展となっており、金田の油彩を中心とした平面作品10点あまりを紹介。