「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」(埼玉県立近代美術館)開幕レポート。Nerhol(ネルホル)新章の幕開け
埼玉県立近代美術館で始まった「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」は、Nerholにとって重要な個展となりそうだ。

昨年、千葉市美術館で大規模個展「Nerhol 水平線を捲る」が開催されたアーティストデュオ・Nerhol(ネルホル)。その第二章の幕開けとも言える個展「Nerhol 種蒔きと烏 Misreading Righteousness」が、埼玉県立近代美術館で始まった。担当学芸員は大浦周。
Nerholは、グラフィックデザイナー・田中義久(1980〜)と彫刻家・飯田竜太(1981〜)により2007年に結成。人物を連続撮影した写真の束に彫刻を施した初期のポートレート作品で注目を集め、他者の思想や異なる分野領域とも大胆に接続しながらその関心と対象を拡げ、表現を深化させている。
昨年開催された「Nerhol 水平線を捲る」は、結成以来の表現活動を振り返るものとなり、高い評価を得て、令和6年度芸術選奨文部科学大臣新人賞の受賞につながった。
本展はその後に制作された最新作を中心に、未発表作を加えた約100点で構成するものだ。タイトルにある「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」には、物事や行為の一義的な確かさに問いを投げかけ、そこに潜在する意味や覆い隠された関係を注視してきたふたりの一貫した姿勢が反映されている。