2026.2.17

第3回 絹谷幸二芸術賞、大賞に浅野友理子。奨励賞に大東忍、審査員特別賞に松元悠

第3回となる「絹谷幸二芸術賞」の受賞者が発表され、大賞に宮城県出身の画家・浅野友理子が選ばれた。奨励賞には大東忍、新設された審査員特別賞には松元悠が輝いた。

大賞を受賞した浅野友理子
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 文化勲章受章者の洋画家・絹谷幸二の志をもとに、若手美術作家の育成を目的として2023年に創設された「絹谷幸二芸術賞」。その第3回受賞結果が発表され、大賞に浅野友理子が選出された。審査対象は40歳以下の平面絵画を発表する作家で、国立国際美術館長の島敦彦と草間彌生美術館長の建畠晢が審査員を務めた。

 浅野は1990年宮城県生まれ。東北芸術工科大学大学院修了。これまで「VOCA展2020」大原美術館賞などを受賞。東北地方を中心に、その土地固有の食文化や植物の利用法、人々の営みなどを取材するフィールドワークを制作の基盤とする。

 浅野の作品は東北地方でのフィールドワークに根ざし、植物や地域の生活文化と深く向き合うプロセスが創作の中核にある。日本画材と油彩を融合させたダイナミックな筆致は、装飾性と生命観を内包し、人と自然の関係性や女性の労働の身体性を可視化している。国際芸術祭「あいち2025」でも注目を集めた浅野は、今回の受賞によって新たな評価軸を得たと言えるだろう。

浅野友理子 綯い交ぜの庭 2021  油彩・岩絵具・水干絵具、パネルに和紙 170×324cm 撮影=嵯峨倫寛
浅野友理子 地続きの実り 2025 国際芸術祭「あいち2025」展示風景 ©︎ Aichi Triennale Organizing Committee Photo by ToLoLo studio

 奨励賞を受賞した大東忍は1993年愛知県生まれ。愛知県立芸術大学大学院修了。これまで「VOCA展2024」VOCA賞などを受賞。語られにくい過疎地や住宅街などを訪れ、主に夜の風景を木炭で描く。盆踊りやその土地の身体記憶をモチーフに、深いモノクロームの画面を構築する作風は、風景画のあり方そのものを問い直す新たな視座を提示している。

大東忍

 さらに今回新設された審査員特別賞には松元悠が選ばれた。松元は1993年京都府生まれ。これまで「アートアワードトーキョー丸の内2018」a.a.t.m.2018三菱地所賞などを受賞。法廷画家としての活動の傍ら、事件現場やその周縁での経験や想像をもとにリトグラフへと再構築。その巧みな描写力が注目されている。

松元悠

 式典では、受賞者にそれぞれ賞状と賞金(大賞100万円、奨励賞50万円、審査員特別賞30万円)、および副賞の画材が贈呈された。次代の絵画表現への期待を背負った受賞作家たち。国内外の展覧会や芸術祭など、その今後の活動にも注目したい。