2025.7.31

「セタブン30祭」が開催。世田谷文学館の開館30周年を記念した展覧会やイベントを実施

開館30周年を迎える世田谷文学館が記念事業として「セタブン30祭」を開催。30年間の歩みを振り返る展覧会やシンポジウム、連続講演会などを行う。

「セタブン30祭」ロゴ
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 開館30周年を迎える、東京・南烏山の世田谷文学館。同館が記念事業として、30年間の歩みを振り返る展覧会、シンポジウム、連続講演会などを行う「セタブン30祭」を開催する。

世田谷文学館

 世田谷文学館は1995年に開館。「文学を体験する空間」をコンセプトに、あらゆる表現ジャンルに文学は偏在するという信念のもと、絵本やマンガ、映像、デザイン、美術などの分野の展覧会や企画を行ってきた。「セタブン30祭 1995-2025」展は、こうした世田谷文学館30年の歩みを、ポスター展示やオリジナル映像で振り返る展覧会となる。会期は10月7日~11月16日。

「セタブン30祭 1995-2025」展 イメージ画像 ©鈴木渉

 11月15日〜2026年3月8日には企画展「ドナルド・キーン展 Seeds in the Heart」も開催。本展は日本文学者・ドナルド・キーン(1922~2019)の足跡をたどる展覧会だ。10代でアーサー・ウエーリ訳『源氏物語』と日本思想史を教える角田柳作と運命的に出会い、日本や日本文化への深い関心を抱いたキーン。本展は、開館30周年の世田谷文学館において、ドナルド・キーンの偉業とともに、あらためて「日本文学」の魅力をひも解くものとなる。

ドナルド・キーン 画像提供:一般財団法人ドナルド・キーン記念財団

 後期コレクション展「世田谷線・100年間のものがたり」は、東急世田谷線沿線に焦点を当てる展覧会だ。同線沿線は、これまで多くの作家たちが暮らし、また作品の舞台ともなった。林芙美子は世田谷線開業と同じ1925年に三軒茶屋駅からほど近い長屋に越し、「放浪記」にそこでの日々を綴り竹久夢二は1924年に松原に自宅兼アトリエを建て、翌年初めて家の前を電車が通った日の情景を「出帆」に描いた。本展では、世田谷線開業から2025年までの100年のあいだ、この沿線で紡がれた物語を、作家たちのエピソードも交えながら紹介する。

山下駅 1969 写真提供:東急株式会社

 また、漫画家・詩人、絵本作家、イラストレーター、デザイナー、編集者など多彩な活動を繰り広げた『アンパンマン』の生みの親・やなせたかし(1919〜2013)。やなせの原作を映画化した『やさしいライオン』(1970/1998)、『ハルのふえ』(2012)を上映する。

映画『やさしいライオン』(1970/1998) ©手塚プロダクション

 9月6日には、世田谷文学館がこれからの文学振興において、どのような存在であるべきかを考える記念シンポジウム「文学、この素晴らしきもの──21世紀の文学と文学館の役割」を開催。ファシリテーターは紅野謙介(公益財団法人日本近代文学館専務理事・日本近代文学研究者)、パネリストに荻野アンナ(神奈川近代文学館・館長、公益財団法人神奈川文学振興会・理事長、作家)、鴻巣友季子(公益財団法人せたがや文化財団・理事、日本文藝家協会・常務理事、翻訳家)、保坂展人(世田谷区長、オンライン出演)、亀山郁夫(世田谷文学館館長、ロシア文学者)が名を連ねる。

 連続講演会「世界文学への誘い~愛について~」は、日本を代表する外国文学研究の第一人者たちが世界文学における「愛の姿」について公演。9月21日の第1回「恋の矢は永遠に飛び続ける ― ロシア文学における愛の変奏」は沼野充義(ロシア東欧文学研究者、東京大学・名古屋外国語大学名誉教授)、10月19日の第2回「現代中国百年の恋人たち ― 魯迅『愛と死』と張愛玲『傾城の恋』そして莫言『酒国』」は藤井省三(東京大学名誉教授、名古屋外国語大学教授)、10月25日の第3回「詩と小説のあいだに宿る〈愛の力〉」は野谷文昭(東京大学名誉教授、名古屋外国語大学名誉教授))、11月1日の第4回「マッチョなアフリカに『愛は来る』か?」はくぼたのぞみ(翻訳家・詩人)、11月2日の第5回「愛、この酷薄なるもの わたしが出会った世界の十の愛の小説、愛の詩」は亀山郁夫(世田谷文学館館長)が担当する。

 さらに11月29日、30日には「セタブンマーケット2025」を開催。「日本・再発見」をテーマに、開催中の企画展と連動してドナルド・キーンによせて日本文化への気づきを深める機会とする。書店、雑貨店、フードのお店に加え、作家の特別出品枠や、ワークショップも予定。