慶應で見つめ直す、あるコレクターの眼差し。「『時代に生きよ、時代を超えよ』-川口黎爾の直視」が開催へ
慶應義塾大学アート・センターで「『時代に生きよ、時代を超えよ』-川口黎爾の直視」が開催。藤牧義夫などを中心とする戦前の日本作品と海外の現代美術の優品を紹介するまたとない機会となる。

東京・三田キャンパス内にある慶應義塾大学アート・センターで、コレクター・川口黎爾による展覧会「『時代に生きよ、時代を超えよ』-川口黎爾の直視(まなざし)」が開催される。会期は6月9日〜8月8日。
本展は、版画家・藤牧義夫(1911〜35?)などを中心とする戦前の日本作品と海外の現代美術の優品を紹介するまたとない機会となる。前期(6月9日〜7月5日)では、川口の心をとらえた藤牧による版画作品や、谷中安規(1897〜1946)らによる版画作品、さらには林倭衛(1895〜1945)の身にせまる肖像画、長谷川利行(1891〜1940)のドローイングなど時代に生きた作家たちの息吹が伝わってくる作品群が紹介される。
続く後期(7月9日〜8月8日)では、初期にコレクションされたアントニ・タピエス(1923〜2012)に始まり、ブリンキー・パレルモ(1943〜77)のドローイング、アナ・メンディエタ(1948〜85)の木の葉に刻印された姿、スタンリー・ブラウン(1935〜2017)の歩みの痕跡、ハンネ・ダルボーフェン(1941〜2009)の日々の営みが綴る波線のドローイングなど、自らの生と向きあいながら、深く問いを投げかけた作家たちの作品が並ぶ予定となっている。
数多くの作品を深く見つめてきた川口は、その「まなざし」を「直視」と書いたという。川口の直視で選び抜かれた時代を象徴する作品群を、ぜひ会場で目の当たりにしてほしい。