EXHIBITIONS

イゴール・ヴィドール「商品としてのバイオレンス」

イゴール・ヴィドール ペスト 2021

イゴール・ヴィドール v.a. 4598 -リオオリンピック 2016

イゴール・ヴィドール Gariwang - 王の名前 2018

 京都のLaboratory of Art and Form(LOAF)では、イゴール・ヴィドールの日本初個展「商品としてのバイオレンス」を開催する。

 ヴィドールは1985年にブラジル・サンパウロで生まれ、現在はドイツ・ベルリンを拠点に活動しているアーティスト。国家や権力者から圧力をかけられる弱者の苦痛と諦め、その背後にある政治的な金権腐敗と買収行為、倫理観を度外視した金儲け主義の商品売買など、実際にあった出来事をテーマに扱い、映像、パフォーマンス、オブジェ作品を通して、人々の日常のなかに深く根ざした暴力や社会的な不正の兆候を表現している。2021年9月にベルリン現代美術館で個展を開催予定。

 本展では、最新作《A PRAGA(邦題:ペスト)》(2021)とともに、韓国での樹齢500年の森林破壊を起点としたJi Hye Chung、Seayool Kim、Hye Won Choiとのコラボレーション作品《Gariwang - The King's Name》(2018)、リオデジャネイロ市の中心部におけるオリンピック公園が建設に伴い、周囲のコミュニティで起きた出来事を追った《Rio Olympics 2016》(2016)の3つの映像作品を上映する。

 世界初公開となる《A PRAGA》のタイトルは、16世期にヨーロッパ人がペストなどの感染症を南米にもたらし、多くの人々が亡くなったように、21世紀の今日、ヨーロッパから南米への武器輸出によって多くの犠牲者が出ていることを踏まえてつくられた。《A PRAGA》の映像では、ブラジルの森を歩く男とブラジルの警察が関与する銃撃戦、ドイツのオーベルンドルフ・アム・ ネッカーの静かで穏やかな街の様子を交互に映し出し出すことで、一見戦争と関わりのない小さな町で続けられる武器貿易が、ほかの国でのテロと暴力事件を増加させているという、両者の決定的な結びつきを検証する。