森田具海 写真展「海の痕跡を見つめる ―そして信じること」

　EUREKAで、森田具海の写真展「海の痕跡を見つめる ―そして信じること」が開催される。

　森田は1994年京都府生まれ。東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻を修了後、熊本県水俣市に移住する。以後、地域と関わりながら水俣湾の埋立地や入江、岬の風景を撮影し、生活者の身体の一部のような眺めや、記憶が息づく場の写真表現を継続している。

　本展は、森田が6年にわたり撮影してきた水俣の写真を中心に構成され、昨年刊行された写真集『ここで眺める水俣 あとから来るものたちの場所』に収録された作品に加え、2025年に撮影された新作も展示される。大学在学中から水俣に通い続け、現在もその土地を拠点とする森田は、身の回りの風景のなかに、かつての景色や語り継がれた記憶、そしてその人にしか見えない風景をかさねあわせ、写し出している。

　展示タイトル「海の痕跡を見つめる ―そして信じること」が示すように、写真を通して失われた風景の輪郭を探り、語りきれないものや記憶の余韻にも光をあてる。本展は、写真というメディアを通して、風景が内包する物語や、見る者の記憶と共鳴する時間の層を静かに立ち上げる試みである。