EXHIBITIONS

篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い

2025.04.17 - 06.22

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 TOTOギャラリー・間で、建築家・篠原一男の生誕100年を記念した展覧会「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」が開催されている。

 篠原一男(1925〜2006)は、東京工業大学(現東京科学大学)で清家清(1918〜2005)に学び、卒業後は同大学で教鞭をとりながらプロフェッサーアーキテクトとして、退職後は自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985)に篠原アトリエを構え、設計と言説の発表を続けた。坂本一成、伊東豊雄、長谷川逸子に代表される「篠原スクール」と呼ばれる一群の建築家を輩出するなど、篠原の薫陶や影響を受けた多くの建築家が現在、建築界の第一線で活躍している。

 篠原一男は「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に多大なエネルギーを費やした。篠原の住宅は日本における現代住宅のひとつの到達点を示すものとして、現在国内外で再評価の機運が高まっている。この言葉とともに発表された初期の代表作「から傘の家」(1961)は2022年にスイス、バーゼル近郊(ドイツ、ヴァイル・アム・ライン)のヴィトラ キャンパスに移築再建され、「白の家」(1966)、「地の家」(1966)、「谷川さんの住宅」(1974)もそれぞれ移築や再生によって継承され、その空間をいまにとどめている。

 本展では、建築家の奥山信一、貝島桃代、建築史家のセン・クアンをキュレーターに迎え、生涯を通して自らに問いを投げかけ続けた篠原の建築家像を「永遠性」をテーマに再考。

 今回の展示では、東京工業大学篠原研究室作製の原図や模型、真筆のスケッチ、家具などのオリジナル資料を、篠原の言説から抽出した「100の問い」と篠原自らの分類による「第1の様式」から「第4の様式」に沿って構成し、その活動と人間性を浮かび上がらせる。篠原の「第5の様式」を予感させる未完の遺作、「蓼科山地の初等幾何」(2006、計画案)のスケッチも展示。本展が、篠原の遺した空間と言説を次代に継承するための一助になることを目指す。