EXHIBITIONS

ビュフェの旅ー新しい風景の発見

ベルナール・ビュフェ ヴェネツィア:大運河 1962 ©Kyoko Murase

 ベルナール・ビュフェ美術館で「ビュフェの旅ー新しい風景の発見」が開催されている。

 ベルナール・ビュフェは、旅をするようにアトリエを移した画家だった。生地パリで画家としての評価を確立するが、その後南仏のナンスやエクス=アン=プロヴァンス、北仏のサン=カスト、中部のトゥルトゥールなど、フランス国内で幾度も拠点を変え、その度に移り住んだ土地の景色を作品に描いた。ビュフェにとって、アトリエを構えた土地の眺めは、描かれる対象となる重要なモテーフだった。

 ビュフェが国外にアトリエを構えることはないが、アメリカやイギリス、イタリア、日本、ギリシアなどを、仕事やプライベートで訪問。フランスとは異なる街のたたずまいや自然のありさまはビュフェに新たな刺激を与え、異国風景の制作に向かわせた。

 その成果は1959年に行われた個展「ニューヨーク」や63年の「ヴェネツィア風景」展、81年に開催された「日本」展に結実している。ビュフェの風景画は、旅の軌跡でもあり、ビュフェが初期から晩年まで描き続けた重要なジャンルのひとつだ。

 本展では「旅」という行為を手がかりに、ビュフェの風景画について考える初の展覧会だ。