2026.5.16

「ガウディ:未来をひらく窓」展(21_21 DESIGN SIGHT)開幕レポート。「窓」から読み解くガウディ建築の革新

建築家アントニ・ガウディ(1852〜1926)の没後100年を記念し、スペイン・バルセロナと東京を舞台に展開される「ガウディ:未来をひらく窓」。東京・六本木の 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で始まったサテライト展の様子をレポートする。

文・撮影=橋爪勇介(編集部)

窓の開閉展示の様子
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 「アントニ・ガウディの建築」と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは、うねるような曲線や有機的な装飾、あるいは宗教的な象徴性かもしれない。しかし、本展が焦点を当てるのは、それらの壮麗なイメージを支える「窓」という存在だ。

 東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で始まった本展「ガウディ:未来をひらく窓」は、YKK APがバルセロナにある世界遺産のガウディ建築「パラウ・グエル(グエル邸)」で開催している展覧会「ガウディ:未来をひらく窓」(〜10月25日)のサテライト展として構成されている。会期は7月12日まで。

世界遺産 パウラ・グエル企画展(バルセロナ展)の360°バーチャルツアー

 展覧会の導入部分では、グエル邸での展覧会を360°バーチャルで巡ることができるコンテンツが設置。これによって、グエル邸の豊かな建築空間や様々な窓、そしてオリジナル作品や模型などを楽しむことが可能となった。

展示風景より、「ガウディの窓の系譜図」

 本展でも大きな存在感を示すのが、会場奥の壁面だ。ここには、東京工芸大学 山村健研究室とYKK APによる共同研究として、ガウディ建築の窓の歴史を俯瞰できる巨大な系譜図が展示。窓を時系列で並べるとともに、それらのディテールが系譜図として提示されている。そこからは、窓が建築にもたらす意味、その可能性が見えてくることだろう。

触れる窓の模型も

 本展では、カサ・バトリョやカサ・カルベット、グエル邸に見られる窓枠などを再現した模型群も大きな見どころのひとつだ。

手前はカサ・バトリョの窓を40パーセントの縮尺で再現したもの

 これらは実際に手で触れられるものとなっており、「触覚」も重要なテーマとして組み込まれている。そこには、ガウディ建築がたんなる視覚芸術ではなく、身体を通じて経験される空間であるという思想が反映されていると言えるだろう。

 こうした模型や系譜図を通して浮かび上がるのは、ガウディが窓を「外界との境界」としてではなく、「環境と接続する膜」として捉えていたことだろう。自然光の入り方や風の流れ、素材の反射や陰影までを含め、窓は空間全体のリズムを決定づける存在となっている。その感覚は、現代建築におけるサステナビリティや環境設計の思想とも接続するものだ。

サグラダ・ファミリア教会の窓・開口部分の模型
ドキュメンタリー映像の展示

 なお本展では、ステンドグラスを自由にデザインできるコンテンツや、サグラダ・ファミリア教会の窓部分模型の展示、ドキュメンタリー映像など、様々な角度から、「窓」というテーマに集中してガウディ建築を見つめ直すことができる。

 巨大な建築全体を前にすると見落としてしまう細部の思想が、本展ではむしろ鮮明に立ち上がってくると言えるだろう。