2025.9.30

V&A East Storehouseに「デヴィッド・ボウイ・センター」がオープン。アーカイヴ総数は9万点以上

ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の「V&Aイースト・ストアハウス」(V&A East Storehouse)に、9月13日、待望のデヴィッド・ボウイ・センターがオープンした。所蔵するデヴィッド・ボウイのアーカイヴの中から選りすぐりの品を展示し、それ以外の品々にもアクセスできるチャンスがある。大きな注目を集めている同センターをレポートする。

文=坂本みゆき

展示風景より David Parry, PA Media Assignments
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デヴィッド・ボウイのクリエイティビティを体感できるスペース

 2012年開催のオリンピックの施設跡を利用したクイーン・エリザベス・オリンピックパークの一角に位置する「V&Aイースト・ストアハウス」は、斬新な「見せる収蔵」の博物館として5月31日のオープン以来世界中のアートファンの注目を集めているのはご存知の通り。4つあるフロアの総面積はバスケットコート30面分よりもさらに広い1万6000平方メートル。ここに25万点の品、35万冊の書籍、1000のアーカイヴが収められている。

V&Aイースト・ストアハウス
撮影=筆者

 デヴィッド・ボウイ・センター(以下、センター)はその一角にあり、その名の通り20世紀から21世紀にかけてつねに新しい表現を模索し続けたアーティスト、故デヴィッド・ボウイ(以下、ボウイ)のアーカイヴが収蔵されている。このスペースのデザインを手がけたのは、ロンドンとパリを拠点とする建築会社IDK。ボウイのダイナミックなクリエイティビティを感じさせながら、ボウイ・ワールドを余すところなく示すことを意識してデザインしたという。

 V&Aとボウイと言えば、2013年に同館で行われ大成功を収めた展覧会「デヴィッド・ボウイ・イズ」を思い起こす人も多いだろう。V&Aでの展示のあとは東京を含む世界12ヶ所を巡回した。当時、ロンドンでの同展のプレビューでキュレーターが「ボウイの関係者からの提案を受けて彼のアーカイヴを初めて拝見したとき、彼の制作にまつわる品々がほぼ完璧に整理されテーマごとの箱に収めて大切に保存されていたことに大変驚きました」とコメントしていたことを現在も鮮明に覚えている。

 V&Aはそれを引き継ぎ、現在所蔵するボウイのアーカイヴはボウイが愛用していたデスクをはじめ、414点のコスチュームとアクセサリー、およそ150点の楽器、7万点以上の写真やフィルム、スライドなど合計9万点以上にものぼるという。