2026.6.12

アートとデザインの境界を揺らす。strangersによるガラスと光のインスタレーション「BLACK AND BLUE」がスパイラルで開催へ

プロダクトデザイン、現代美術、邦楽、CG表現を横断するアーティスト・strangers。その個展「strangers | Collection 01 『BLACK AND BLUE』」が東京・表参道のスパイラルで開催される。会期は6月18日〜22日。

strangers《Glass Table》(2026) Photo:Zenji Kosuge
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 東京とロンドンを拠点に、プロダクトデザイン、現代美術、邦楽、CG表現を横断するアーティスト・strangers。その個展「strangers | Collection 01 『BLACK AND BLUE』」が東京・表参道のスパイラルで開催される。会期は6月18日〜22日。

 本展は、2026年以降「色・音・現象」をキーコンセプトに多様な展開を見せるstrangersの、プロダクトを活かした大型インスタレーションアートと様々な形態のフィジカルアートで構成される展覧会だ。

壁面が《Glass Image》、手前が《Glass Stone》 Photo:Zenji Kosuge

「意味の網」から逃れる現代の余白

 strangersは効率や計画性によってすべてに役割が与えられてしまう現代社会のあり方に疑問を投げかけてきた。意図的に「何も無い状態」をつくり出すアプローチとして、透明なガラスを素材として選択。主張を持たず背景に溶け込み、空間全体の輪郭を曖昧にする周辺的な作用をもたらすものとして、ガラスを軸に作品制作してきた。

strangers《Glass Stone》 Photo:Yusuke Nishibe
strangers《Glass Stone》 Photo:Yusuke Nishibe

「物体は消えていないが、意味としては消えている」という感覚は、人間の「記憶」の不確かさや曖昧さとも深く重なり合う。strangersは天候や外光、視点によって像を変化させる「テクスチャガラス(Ribbed Glass)」の重なりを通し、実体を持たず外界との関係の中で都度立ち現れる記憶の性質を、空間に灯し出すことを試みている。

strangers《Glass Stone》 Photo:Yusuke Nishibe
strangers《Glass Stone》 Photo:Yusuke Nishibe
strangers《Glass Image》 Photo:Yusuke Nishibe

《Glass Table》と《Infinity Light》

 会場となるスパイラルの象徴的な螺旋階段には、大小様々な光の柱が並ぶ大型インスタレーションが出現する。展示される作品は、建材としても使われるテクスチャガラスや無彩色の金属といった素材をベースに、約1年間にわたるマテリアルの研究を経て検証された、アートと生活空間の境界を探るプロダクトたちだ。

strangers《Glass Table》(2026) Photo:Zenji Kosuge
strangers《Glass Table》(2026) Photo:Zenji Kosuge

色褪せた記憶の欠片

 ガラスの机である《Glass Table》は、テクスチャガラス、透明ガラス、金属製の引き出しによって構成されたミニマルなテーブル。天板内部にテクスチャガラスを重ねることで、引き出し内に収めた本や写真、オブジェの輪郭がガラスの凹凸によりぼやけて見える仕組みを取り入れている。これは「色褪せた記憶の欠片」を表現しており、人間の記憶の曖昧さを喚起する。ガラスの脚部が浮遊感と静かな揺らぎをもたらす作品だ。

strangers《Infinity Light》(2026) Photo:Zenji Kosuge
strangers《Infinity Light》(2026) Photo:Zenji Kosuge

 また、ガラスの照明《Infinity Light》は直線的なLED光源をテクスチャガラスの内側に配置し、スモークガラスや鏡面性のある金属と組み合わせた照明作品。光源を直接見せず、輪郭を曖昧にぼかすハーフミラーなどの構造により、柔らかな光の奥行きを生み出す。スイッチを切ると黒い鏡の柱へと姿を変え、空間に溶け込むオブジェとしても機能している。

 これらの作品群は、何かを強く主張するのではなく、解釈や評価の外側にある「静かな存在のあり方」として、空間の中に自然に溶け込む。

 デザインと現代美術、プロダクトとインスタレーションの境界を軽やかに行き来するその静謐な世界観を、ぜひ会場で体感してほしい。